半結晶材料のポリフェニレンスルフィド(PPS)は、285℃の溶融点を有する高温ポリマーの分類に属します。PPSは本質的にもろい性質を有していて、そのため多くの場合充てん剤とともに使用されます。その機械的性質、とくにPPSの衝撃特性を強化するためには、炭素繊維が適していることが分かっています。しかしながら、新品の炭素繊維複合材は高価であるため、複合材産業においては再生炭素繊維が成長分野であると考えられています。再生炭素繊維の主要な供給源としては、引退した航空機、メーカーからの古くなったプリプレグとスクラップをあてにすることができます。

このようなPPS-炭素繊維のブレンド品は、大量輸送用途、自動車部品などに使用することができ、従って、研究者と産業界にとってはアイゾット衝撃値のようなプロセス性能特性が極めて重要なパラメータとなります。インストロンでは、PPS(粉末マトリックス)および再生炭素繊維ブレンド品(繊維長は6.35 mmから12.7 mmまで幅あり)の押出し-圧縮加工によって作成された試験片のアイゾット衝撃試験を行うため、CEAST 9050衝撃試験機を使用しました。この成形されたプレートを切断(3.17 mm x 10.16 mm)して、CEAST自動ノッチ加工機AN50を用いてASTM D256にもとづいてノッチ加工を行いました。ASTM D256に適合する炭素/PPS試験片の衝撃試験を行うため、5.5 Jの振子型ハンマーを使用しました。

アイゾット衝撃試験の結果では、0.5 Jから3.50 Jのエネルギー吸収値の範囲が示されました。破壊モードは反復可能であり、繊維とマトリックスの相互作用はしっかりしていることが観察されました。アイゾット衝撃試験の結果は、プレートに形成される押出し-圧縮成形プロセスによる繊維の配向性に敏感であるように思われます。

上記の一部情報の貢献に対しまして、アラバマ大学バーミンガム校(UAB)「材料プロセシング・用途開発(MPAD)センター」に感謝申し上げます。

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