熱可塑性エラストマーは、熱硬化性ゴムの機械的性質と類似の性質を有する材料ですが、押出しおよび射出成型などの標準熱可塑性プラスチック用に設計された方法を用いて製造することができます。さらに熱可塑性エラストマーは、非常に簡単に効率よくリサイクルすることができます。キャピラリレオメーターは、熱可塑性エラストマーの流動特性を測定する際に役に立つツールです。粘度対せん断速度曲線を測定するだけでなく、押出し材の膨潤特性の調査にも大変役に立ちます。これは、膨潤測定装置にレーザー装置を追加することにより行うことができます。
あるタイヤメーカーは、自社の熱可塑性エラストマーの調査に関心を持っていました。インストロンに提供されたのは平らなシート形状のエラストマーで、カーボンブラックおよび添加剤で構成されているゴム状化合物でした。インストロンは、20 kNのロードセルを装備したツインボア式キャピラリレオメーター(バレル径15 mm)CEAST SR20を使って、ISO 11443に従いこの化合物の試験を行いました。この試験は、バレル温度を100℃にして実施しました。バレルに均等に装入するため、ゴムシートを小さな破片に裁断しました。材料を予熱して、2,400 Nで固めました。その後、キャピラリーダイを通して、1/secから2,000/secのせん断速度でこの溶融材料を処理しました。この試験の設定とキャピラリレオメーターの制御には、CEASTVIEW(VISUALRHEO)ソフトウェアを用いました。
すべての試験片は非ニュートン流体の挙動を示し、その粘度は、せん断速度1/secにおける100,000 Pa.sから1,000/secにおける800 Pa.sまでの範囲に及びました。この種の化合物では、1,000/secのせん断速度は、これ以上では安定した圧力プラトーを維持することが非常に難しい限界せん断速度であることが分かりました。バグレイ修正も適用しました。全体として、この材料は良好な繰返し精度と再現精度を有する結果を示しました。ダイから出た後におけるこの化合物のスエルの影響を調べるため、CEASTダイスエルレーザーシステムを用いてダイスエル試験も実施しました。右側のSQCグラフには、粘度対せん断速度曲線および平均ダイスエル対せん断速度曲線の繰返し精度が示されています。