Instron®はとても小さな規模でスタートをしました。
私たち、インストロンは1946年にマサチューセッツ州ボストン郊外のCantonに設立されました。その創始者であるHarold Hindman(ハロルド・ヒンドマン)とGeorge Burr(ジョージ・バール)は、マサチューセッツ工科大学(MIT)でパラシュートの製造に使用できる絹の適切な代替品を研究する共同プロジェクトで、一緒に研究をしていました。彼らの要求を満たせる十分な精度を持つ試験機がないことが分かり、ヒンドマンとバールは、彼らの電気工学と機械工学の知識を駆使して、当時の最新型の電気制御とサーボ制御システムに基づく材料試験装置を設計しました。完成したプロトタイプは非常に優れたものであったため、ヒンドマンとバールは Instron Corporationを設立することにしました。

「INSTRON(インストロン)」という名称は、「instrument(計測器)」と「electronics(エレクトロニクス)」の合成語であり、材料試験機分野における革新者として、この二人による唯一無二のパートナーシップを象徴した社名となっております。
インストロンの試験機 第一号機は、ユニークなクロスヘッド駆動システムを組み込んでいました。それは軍艦のレーダーアンテナの位置制御駆動に似ていました。荷重測定システム用のトランスデューサは、ひずみゲージを使用しており、それはMITで開発された新しい技術でした。
吸収合併
長年にわたり、インストロンはいくつかの有意義な吸収合併を行い、材料試験システムの範囲を拡大してきました。そうして得てきたのは、この業界で500年分以上の経験に相当します。
Severn Furnace Limited
Severn Furnace Limited (SFL)は1989年に設立され、そのとき、インストロンはSeven Science Limitedから加熱炉製品ビジネスを買収しました。SFLは高度な高温加熱炉と温度に関わる装置の設計と製造でその評価を確立しました。今日、弊社は高温および低温アプリケーション用に、あらゆる分野の恒温槽、大気炉、およびアクセサリー類の製造を続けています。
Wilson Hardness-Reicherter, Wolpert, Wilson
Wilson Hardnessは、80年以上前にRockwell®試験機の初期モデルを発売しました。その後、この会社は、ノープとビッカース試験の産業標準であるマイクロインデンテーション試験機の伝説的なTukon シリーズを開発しました。
Wilsonはまた、ブラレひし形圧子、ロックウェル・試験ブロック、イキトロン・ジョミニー・治具など、多くのその他硬さの製品を開発しました。1993年、インストロンはWilson 機器とWolpert社を購入しました。現在、インストロンの硬さ試験機には、ロックウェル、微小圧痕、イメージ解析システム、ブリネル、携帯型試験機、および広範囲のアクセサリーが含まれます。ユーザー最高水準の材料解析アプリケーションを満たすために、製品と技術サービスを提供するという企業理念を強化するために、当社は、Wilson機器が、材料解析のための科学機器とサプライ品のトップメーカーであるITW部門の Buehler社に参画することを発表します。2つの情報技術部門が結集したこのユニオンは、長いの歴史を持つブランドと、市場をリードするテクノロジー、原材料解析サポート、ユーザーサービスの強い評価を結集しています。
IST
1996年、インストロンは構造物試験ビジネスをSchenck Testing Systemsから買収しました。それがインストロンの製品ラインナップを自動車の性能試験まで拡大し、Instron 構造物試験部門の設立(IST)となりました。
Dynatup
Dynatup衝撃試験は、計装化された衝撃試験のために世界中での研究/業界標準になっています。Dynatupという名称は、自動車、航空宇宙、電子工学、医療、消費者製品、およびスポーツ用品などの業界における広範囲及ぶ材料にとって、衝撃試験と同義語になっています。
Instronは1997年に、Dynatupを買収し、その後8100シリーズ落錘型試験システムの新モデルを発表しました。DynatupとInstron両者の実績ある技術の組み合わせにより、8100シリーズは高エネルギーの金属試験のための業界標準として認知されています。8150モデルは、これまで製造された中では最大の標準落錘型衝撃試験機であり、28,000J の衝撃エネルギーで試験が行えます。Dynatupは、落錘型衝撃試験システムの他に、振子型衝撃試験機用として、計装化されたタップと治具も製造しています。
Satec
1998年、インストロンはSATEC Systemsを購入しました。それ以来、インストロンは、LX、DX、およびKPXモデルを含む静的油圧万能材料試験機の新ラインナップを開発しており、これらはすべて、強力なインストロン制御システムを利用しています。現在、SATECは、インストロンの油圧動力式万能材料試験機の産業シリーズとしてラインナップしています。
CEAST
2008年末、インストロンは、イタリアを拠点とした、衝撃試験機、レオロジーとポリマーの熱機械特性評価のための総合試験装置メーカー、CEASTを購入しました。材料・構造物試験市場でのDynatupとCEASTの融合により、インストロンの衝撃試験システム、ソフトウェア仕様・特長は会社の製品ラインナップを最大限に活かした一連の発展を遂げています。その結果が、新しいCEASTの落錘衝撃試験機9300システムとCEAST9000シリーズ振子式衝撃試験機システムの誕生でした。
この衝撃試験システム、CEASTに加えて、基本のメルトフロー試験機から高性能キャピラリーレオメーターまで、レオロジー試験のラインナップを完全化し、専門技術を持っています。CEASTの試験アプリケーションには、高温におけるプラスチック材料の挙動を決定するように設計された革新的なHDTビカット熱機械システムが含まれます。これらの進歩により、インストロンはプラスチック業界向けの製品提供を強化することができました。
再生医療技術
2013年、インストロンは生体材料試験技術を獲得しました。この技術は、生体組織の成長と発達を促進するための商業用バイオリアクターのトップメーカーです。TGTは、LumeGen、CartiGen、LigaGen、CardioGenおよびOsteoGenの組織工学・再生医療技術に関する専門知識を持っています。
主な足跡
数々の「パイオニア」
その歴史を通して、インストロンは材料試験機業界の先駆者であり続け、数多くの分野で「パイオニア」を担ってきました。インストロンは、材料試験機での荷重測定に初めてひずみゲージを使い、さらに半導体エレクトロニクス、コンピュータ化された試験システム、デジタルエレクトロニクス、デジタル信号処理、および赤外光を初めて材料試験で用いました。また、インストロンはビデオ式のひずみ測定を使用した最初の企業の1つでもあります。さらに、インストロンは試験機業界で自動トランスデューサおよび両振り荷重(万能材料試験機は引張からゼロ点を通過して圧縮する試験が可能です)を初めて提供しました。

新製品の革新と導入の歴史
1950年代
- ソレノイド動作の機械式NCR計算機 (初めてデータの自動印刷が可能に)
- 自動化された鉛筆の芯の試験機 (工業用ロボットが存在する以前)
1960年代
- 革新的な10-Fウェッジグリップ
- 空気圧式グリップ
- 600°Fの放射熱環境槽
- 1,000℃での試験を可能にした最初のシステム
- 最初の光学式伸び計
- 試験から直接数値を取得する最初のシステム
- 電気機械式試験機(EM)用の最初の荷重ひずみ制御システム
- 容量50,000ポンドの試験装置
- 最初のデジタル式試験記録機器 (パンチテープシステム)
- Model 1161のデータアナライザー (材料試験システムで初めてマイクロプロセッサ使用)
- 最初の高伸度伸び計
- 世界初の半導体コンソール
1970年代
- 自動より糸ローディングシステム
- シートベルトグリップ
- 1120シリーズ試験装置
- モデル1130
- モデル1211動的繰返しシステム
- 1251試験システム
- 2430自動データ収集システム
- マイクロコンデータ処理システム (インストロンの最初のデジタル出力)
- ロータリーレオメータ
- 食品の鮮度とテクスチャーを測定するために考案された食品試験アクセサリラインナップ
- 最初のロードシミュレーター
- 50,000インチ/分の高速引張試験機
- 電磁共振試験機
- 数台の大型油圧サーボ試験機プロジェクト(150トンの曲げおよび250トンの圧縮)
- 画面とキーボードで操作する最初の油圧サーボ試験制御システム
- 超合金の熱機械疲労システム
- シェーカーシステム -- スタンドアローンとして動作し、かつ油圧サーボ試験フレームとの複合機としても動作
- メジャー/マイナーシステム (疲労き裂成長での一次成分と二次成分を組合せたサイクルでの試験が可能な最初のシステム)
- コンピュータ化された動的試験機
1980年代
- 2軸サーボ油圧試験機械
- スノーモービルの実際のコンディションをシミュレートする油圧サーボ試験台
- クリープおよび低サイクル疲労試験用1362システム
- 自動ステアリングギア用試験台
- 低コストの卓上型試験機モデル1000
- 日本で作られた最初のロボットシステム
- Instron Ltdによる自動伸び計
- 高温真空油圧サーボ試験システム
- 最初の自動伸び計
- 2410/DSA (汎用コンピュータシステムを使用する最初の試験システム)
- 環境槽と振動試験システム (完全に統合された最初の環境試験システム)
- 電気機械式試験機4200シリーズ
- モデル4301 (診断システムを内蔵した最初の試験機)
- モデル6000 (画面とキーボードで操作する最初の電気機械式試験制御システム)
- 電気機械式4500システム (最初の完全デジタル電気機械式材料試験システム)
- 8500油圧サーボシステム (最初の完全デジタル油圧試験システム)
- スーパーグリップシステム (曲げ成分を除去した最初のセラミック引張試験システム)
- Testmasterロボットシステム (最初の商用自動試験システム)
- リグシステム、およびコンピュータ化された油圧サーボシステムと電気機械式システムのための多数のアプリケーション
1990年代
- 非接触式ビデオ伸び計
- 絶対零度付近の試験用システム
- モデル2130 (最初の完全デジタル荷重/ひずみコントローラ)
- インディカーの試験を行うレーシングカー業界用の8500シミュレーションシステム
- SPiDAR (非正方行列を用いる最初の繰り返し制御システム)
- 5500シリーズMerlin™システム
- 4400システム
- 短い加熱炉 (1600℃の空気中で試験を行うための最初の加熱炉)
- McLaren リグ (最初の完全デジタル4-ポスターリグ)
- 8511油圧サーボ試験システム
- 自動硬さおよび引張試験システム
- モデル8516
- Windows用FastTrackソフトウェアおよびMaxソフトウェア
- Wilson 600 Rockwell硬さ試験機
- ARGO II シミュレータ
- 強化されたビデオ伸び計を取り付けたモデル5569
- モデル2000 Rockwell試験機
- Labtronic 8800デジタルコンポーネント試験制御システム
- Wilson Rockwell 2000
- 強化されたMerlinソフトウェアを備えた5500および4400試験機
2000年代
インストロンは、1999年9月にKirkland Capital Partnersに、その後、2005年10月にITWに吸収合併され、その試験・測定部門のプラットフォームとなりました。
21世紀以降の新製品:
- タッチパネル式コントローラ
- SATEC LX & DXシリーズ (設置面積の小さい油圧万能試験機)
- Bluehill® 2ソフトウェア
- エレクトロダイナミック疲労試験システムElectroPulsシリーズ
- WaveMatrix™疲労試験ソフトウェア
- Minuteman ELT™マイクロ硬さ試験ソフトウェア
- BioPuls®槽