材料試験 | 中国
可変周波数、可変振幅の材料の長期間の機械的性能研究
By Dr. Jian Fang from Baowu Group
ElectroPuls™ 独自の動的試験と静的試験の機能
繰り返し負荷を受ける材料の長期間における機械特性評価は今後も重要となります。従来の油圧サーボ試験機の場合、その周波数範囲が小さく、保守コストが高く、また試験が作動している間の騒音が難点でした。また、極薄鋼の疲労試験を行いたい場合、従来の電磁共鳴式の高周波数疲労試験機は制御が困難であることが分かりました。どちらの課題も、新しい解決策を見つける必要がありました。
The Chief Engineer of Mechanical Testing of the Central Research Institute from Baowu Group, Dr. Jian Fang
China South RailwayとChina North Railwayの合併に続き、China COSCO Holdings CompanyとChina Shipping (Group) Company、中国の鉄鋼産業のリーダーであるBaosteelとWISCOが2016年9月に合併し、中国最大のBaowu鉄鋼グループとなりました。Baowuグループは、「鉄鋼業から素材への転換」鉄鋼業を基盤とした新規素材の開発、近代的な貿易物流産業、産業サービス、都市サービス、産業、金融産業に携わるという3つの変革戦略を継続することで、最終的に「中国のリーダーから世界の鉄鋼産業のリーダーへ、そして世界規模の企業集団へ」と成長するビジョンを掲げています。
この3つの戦略に対応するため、中央研究所(技術センター)の力学試験室では、特に鉄鋼原料の機械的特性評価と試験メソッド開発に基づく新しいエネルギー材料において、工業材料の現場で暫定的な試みを行ってきました。
我々全員が知っているように、材料・アプリケーションの研究開発は時代の変化に伴う必要があります。アクセルを踏むと、加速から安定した走行速度まで加速した後、ブレーキをかけて減速します。この繰り返しは、材料を高負荷から低負荷への負荷頻度にさらし、その後一定に保ちます。典型的なアプリケーションの1つは、先進電気自動車に使用される鋼材です。従って、一定振幅と周波数の従来の疲労試験は、より新しいエネルギー車両のような先進材料が直面する技術的問題を満たすことができませんでした。環境・速度・振幅・周波数の変化は新エネルギー自動車材料の主要な研究内容となっています。
「可変周波数、可変振幅の材料の長期間の機械的性能研究が将来のトレンドになるでしょう。」とFang博士は語りました。fしかし、中国では試験規格のGBT15248-2008に準拠する必要があります。軸方向一定振幅での金属材料の低サイクル疲労試験は、明らかに上述の材料の試験要件を満たすことができません。すでに国際的な規格となっているISO12110-1-2013:金属材料-疲労試験-変数振幅疲労試験-Part 1:この種の材料を試験するための全般原理、試験メソッド、レポート要件がありますが、関連する中国の規格はまだ発表されていません。新しいエネルギー車両の台頭と中国政府の推進により、テスラ、フォルクスワーゲン、ジェネラルモーターズなどの有名な自動車メーカーの多くは、すでに独自の材料の疲労試験規格を確立しています。可変振幅、可変周波数、可変温度試験などの新規コンセプトは、疑いなく、新しい要件を世界の資材サプライヤーに提案することとなりました。Baowuスチールを含む多くの材料サプライヤーにとって、対応する試験ソリューションをできるだけ早く見つけることは新しい研究課題となっています。
新しい課題であるため、従来の試験メソッドを突破し、効率的な解決策を見つけることが重要です。主任技術者であるFang博士は金属材料試験に関する豊富な経験を有しています。彼の見解では、疲労試験を行う方法はたくさんありますが、可変の振幅、周波数、温度のもとで正確に測定できる装置はほとんどありません。
通常、可変振幅、周波数、温度で材料疲労試験を行う場合、電気式油圧サーボ疲労試験機が選択されますが、その対応周波数は数十ヘルツに過ぎず、高頻度試験の要求に対応できなく、試験効率が低下します。電磁共鳴高頻度疲労試験機は高頻度試験を行うことができますが、可変周波数、可振幅で試験することはできません。これは、軽量材料を試験している間は、とりわけ困難です。
「一方で、従来の電気式油圧サーボ疲労試験機は、多大なコストがかかる油圧源のメンテナンスのため、効率が低下し、また騒音も大きくなります。その他に、従来の電気式共鳴高周波数疲労試験機は、いくつかの極薄一般用クラスの鋼材で疲労試験を行う場合、制御が困難であることが分かっています。これらの課題により、疲労試験に対する新しい解決策を見つける必要がでてきました。」と、Fang博士は説明しました。
動的試験と静的試験どちらも行る電気疲労試験機はメンテナンスにほとんど費用がかからず、高周波数電磁共鳴試験機の高周波数機能の利点と低サイクル疲労試験機の振幅と周波数をプログラムする能力を組み合わせた可変振幅と可変周波数のもとで試験を行うことができます。超薄型・軽量素材の機械的試験に非常に適しています。さらに重要なことは、冷却水や油圧オイルを必要とせず、非常にコンパクトな設置スペース、メンテナンスも容易であることです。また、試験室内の単相電源のみで稼働し、電力消費量もわずかです。Fang博士は、展示会でデザイン性が高く、汎用性のある動的試験ならびに静的試験が行えるインストロン製の試験機に出会い、大変惹かれたそうです。
従来の疲労試験では、しばしば周波数をできるだけ高く設定し、短期間で疲労限界に到達することを期待しています。 しかしながら、新素材の疲労試験は変わってきています。私たちは、可変振幅あるいは可変周波数のもとで、鉄鋼の疲労特性がどうなるのかについて、大変関心があります。
このような種類の試験はすべてインストロンのE10000を用いて行うことができ、試験結果はユーザーにおいて初めて確認される内容です。また、金属材料に加えて、E10000を用いて食品グレードの軽量素材やプラスチックの試験も行っています。まとめると、静的、動的試験機であるElectroPulsを用い、低速度の静的試験から高周波数の閉ループ動的試験まで、お客様の試験要件をすべて満たすことができます!
それ以上に、Fang博士は、インストロンのもう一つの大きなメリットは、すべてのアクセサリーを共有できることであると強調しました。そのロードセル、治具と伸び計は、同じシリーズの試験機でで使用することができ、ユーザーのための時間とコストを節約します。
インストロンのE10000試験機は設置後、すでに1年たちますが、Baowuの技術者たちは、この試験機と共に、可変振幅、可変周波数の疲労試験について、多くの実績と経験を積み重ねることができました。新しいエネルギー産業の発展と振興に伴い、インストロンのElectroPuls静的、動的試験機は、その適用範囲を広げるものと考えています。