(英語:Melt Flow Rate (MFR, MVR))

「メルトフローレート」とは、溶融プラスチックの流動性の大きさのことであり、熱可塑性プラスチックの品質管理用の典型的なインデックスを示すものである。元々は、「メルトフローインデックス」あるいは「メルトインデックス」(通常はポリエチレンに用いられるが、各種材料に適用される)と呼ばれたが、現在の標準的な名称は、マスフローをg/10分で表す(SI単位)「メルトマスフローレート」(MFR)である。もう1つの量の表現は、「ボリュームフローレート」(MVR)と呼ばれるcm3/10分で表す(SI単位)ボリュームフローである。MVRにメルト密度(すなわち、溶融状態における材料密度)を掛け合わせると、MFRとなる。

典型的な「メルトフロー」装置は、小型で使用が簡単である。基本原理は、(当初は粒、粉あるいはフレーク状の)熱可塑性サンプルが、加熱されて流動化し、キャピラリーダイをとおして強制的にシリンダーから押し出されることにある。押出し用のピストンには、通常最大21.6 kgまでのおもりがのせられる。MFR(およびMVR)は、材料の種類ごとに決められる標準条件の温度および載荷荷重の下で、通常固定式ダイ(内径2.095 mm、長さ8 mm)を用いて得られる。結果は試験条件に依存するので、結果にはかならず試験条件を明記しなくてはならない。

MFRおよびMVRは、通常「品質管理」ラボおよび「生産管理」ラボにおいて用いられる。基本的な方法は、オペレータによる押出しタイミング、切断および重量を予測して、MFRの値を直接得ることである。最新の装置を用いることで可能となる半自動法では、ピストン移動量の直接測定値を使用し、それによりMVRの値が直接得られる。メルト密度は、入力あるいは測定することが可能であり、それによりMFRの結果も得ることができる。半自動法ではさらに高い精度を得ることができ、またより広範囲の測定可能速度が保証される。さらに進歩した方法では、同一の試験において荷重を数回かけて、そのたびにMFR(MVR)を求める測定を行う。この方法は多重おもり試験と呼ばれ、粘度のせん断依存性に関するある程度の情報など、サンプルの付加的な情報が得られる。1つのおもりのMFR試験は、平均分子質量と相互に関連付けることができるが、せん断依存性は分子質量の分布に依存する。

「メルトフローレート」は、材料特性を詳しく理解する必要が無い場合、同じ材料のバッチを比較するか、あるいは(通常は押出しプロセス用の)さまざまな材料の流動特性を推定するための迅速なツールである。正しい流動性のキャラクタライゼーションは、レオメーターを用いて実施することができる。「メルトフローレート」は、(せん断)粘度に反比例するが、粘度を測定するためには用いられない(単に概略の推定値は得ることができる)。

参考資料

  • ISO 1133:2005「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の測定」
  • ASTM D1238-10「押出し式プラストメーターによる熱可塑性プラスチックのメルトフローレートに関する標準試験方法」
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