熱可塑性プラスチック産業では、品質管理用および受入れ製品承認用ツールとして、メルトフローインデックス(MFI)が用いられます。この流動性の測定値はポリマーの識別カードに記載され、このプラスチックのグレードが、要求される流動性範囲内であるかどうかを検証するために用いられます。このMFIは、ポリオレフィン(ポリエチレンHDPE、LDPE、LLDPE、ポリプロピレンPP)において一般に用いられます。
ASTM D1238は、標準ダイ(2.095 x 8 mm)を用いて、加熱シリンダー中において所定の温度、荷重およびピストン位置の下で指定時刻に測定を行う溶融樹脂の押出し速度の測定を扱っています。この規格には、ISO 1133と同様な手順AとBとともに、4種類の異なる試験手順が含まれています。手順Cは、高フローレイトのポリオレフィンと関連していて、フローレイトを低下させるため1/2の寸法(長さと直径)を有するダイの使用を規定しています。材料を装入する前にダイプラグを挿入し、ピストン/ウェイト支持具を取り外す前にダイプラグを取り出すことにより、高流動性のサンプルの試験も実施できます。手順Dは、異なる試験条件の下でメルトマスフローレイト(MFR)のデータを得るため、同一のサンプルに対して異なるウェイトを適用する方法に関連しています。これは、1回の試験で最大5個のウェイトを装着するように設計されたインストロンの「マルチプルウェイト式メルトフローテスター」を用いて容易に実施することができます。これにより、低荷重時の平均フローレイトに対する高荷重時の平均フローレイトの比としてフローレイト比(FRR)の自動計算が可能になります。FRRは、流動挙動が材料の分子質量分布によって影響を受ける指標として一般に使用されます。
インストロンでは、当社のINSTRON CEAST MF50マルチウェイトテスターを用いて、さまざまな質量(2.16、5、および21.6 kg)の190℃における高密度PEサンプルのメルトフロー特性の試験を行いました。このテスターには、エンコーダー、プラスチックの塊りの自動ハンドリングと配置機能付き電動ウェイトリフター、および押出し材を正確な間隔で自動切断する装置が装備されています。最大750 Nまでの制御荷重を有し、材料のつき固め機能を有する当社独自のロードセルは、試験前の材料の好ましい軟化レベルを定めて正確に監視します。これは、測定の反復精度に材料の予加熱段階が大きく影響するためです。さらに当社では、各ウェイトにおいて最高精度を得るため、50個の測定点を収集する機能をもつエンコーダーを用いることを提案します。その後ユーザーは、各ウェイトの組合せに対してフロ-レイト比を求めるため、異なるウェイトを用いて得られたメルトマスフローレイトを使用することができます。
試験が終わった際には、試験時間を減らして品質管理プロセスを最適化するため、当社の加熱シリンダー自動クリーニング装置を用いて装置を十分にクリーニングすることを推奨します。PVCあるいはフルオロポリマーのように化学的に侵食性の強い材料に関しては、当社では特殊な耐食キット(加熱シリンダー、ダイ、ピン)を開発済みで、このキットは当社のすべての装置とともに提供することができます。