プラスチックスの高温機械特性は、広範囲の用途に対して制限を与える可能性があります。ポリマーの中には200℃以上の温度に耐えるものもありますが、他のポリマーは100℃に到達する前に破損してしまいます。ビカット軟化点(VST)試験を用いると、ユーザーは、このような高温下において表面特性を維持する製品の能力を測定することが可能になります。
この試験では、試験片に点荷重を加えたまま、一定速度でその試験片の温度を上昇させます。点荷重が試験片に1 mm貫入した時点で試験を終了し、温度を記録します。この結果は、その後、製品の開発または品質管理のために使用されますが、設計用の計算に使用することは望ましくありません。この試験自体には(特定の最小面積以上あれば)試験片サイズや形状の規定がなく、さまざまな厚みの試験片を使用できるためこの試験には大きな自由度があります。
このASTMビカット試験は、ISOの相当規格(ISO 306)によってカバーされています。このISO規格は多くの点でこのASTM規格と技術的に同等ですが、この規格で扱っている初期クリープは考慮されていません。さらに、このASTM D1525規格では、伝熱媒体として流動化粉末の使用が可能です。この新しいシステムは、最大500℃の短期熱サイクルに対して、十分使用が可能であり安全であることが分かっています。このシステムでは、標準軟化点が300℃を超えるすべての材料(例、PEEK、PEI、LCP等)に関する熱機械試験が可能です。
試験を行う場合、HVシリーズの熱機械テスターは、これらすべての規格に完全に適合するようにラインナップされています。これらのテスターは、内蔵された直感的な制御方式(自動化オプション)と交換が容易な試験ヘッドを備えており、多目的に使用でき順応性があるので、変化していく熱機械試験のニーズに対応できます。インストロンは、オイルベースの伝熱システムが適切ではない実験室において使用するため、オイルフリー・タイプの伝熱媒体を使用するHV500を提供することもできます。
さらにインストロンは、お客様が試験の準備を行うために試験片を打抜きおよびフライス加工する際、多数の試験片作成ソリューションを提供することができます。ASTM D1525による試験を実施するためには、この規格(このリンク先から利用可能できます)を参考にしてください。