高温時(強化材では最大400℃)の、優れた耐薬品性と機械特性により、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、航空宇宙、自動車および医療産業において広く使用されています。PEEKは、強度、柔軟性、耐薬品性および容易な加工性が組み合わされた優れた性質を有するとともに、ガラス繊維あるいは炭素繊維のような充てん材を用いて強化することによりPEEKに対して並外れた機械特性と熱特性を与えることができます。これらの理由により、PEEKの押出し加工には大きな関心がもたれています。
インストロンでは、その流動特性を理解するため、CEAST キャピラリレオメーターを用いて強化されていないPEEK(純PEEK)と炭素繊維強化PEEK(C/PEEK)の試験を行いました。ここでは、PEEKおよびC/PEEKを400℃で試験するため、直径対長さの比が5、20および30の3種類のフラットヘッド型キャピラリを使用しました。ASTM D3835に適合するよう予熱時間を6分に設定し、また材料には1000 Nの一定荷重を負荷しました。試験は、C/PEEKのプロセスウィンドウを理解するために実施し、また各せん断速度において粘度の値を測定しました。
観察によると、純PEEKは典型的なバルクのポリマー挙動を示し、せん断速度には粘度依存性のあることが示されています。一方C/PEEKは、繊維とポリマーとの相互作用におけるポリマーチェインの移動性がおそらく小さいため、PEEKほどにはせん断速度に対して敏感ではありません。また、レオメーターの加熱シリンダー内での材料の滞留時間が長いときには、粘度が増加することにも気付きました。
C/PEEKのような充てん材料に関しては、フラットヘッド型ダイに比べて円錐形の入口ダイを用いると、キャピラリへのメルトの流れ込みがいっそうスムースになるため、一様な流れを実現するのに役立ちます。円錐形の入口ダイは、より安定した連続した流れをつくるのに役立つのみならず、試験後のクリーニングプロセスをも容易にします。