ASTM E208落錘試験は、5/8インチ(15.9 mm)以上の厚さのフェライト鋼の無延性遷移(NDT)温度を測定するために用いられます。NDT温度とは、鋼材の破壊様式が延性から脆性に変化する温度です。このNDTより高い温度では、極限引張強さの荷重をかけると破壊するまで鋼材は延性的な様式で伸びたり、あるいは変形したりします。このNDTより低い温度では、降伏強さ(その極限引張強さのほぼ2分の1)の荷重をかけると、同じ鋼材が脆性的な様相で破壊されます。いったん脆性破壊が始まると、この割れは、材料がなくなるか圧力が解放されるか、あるいはさらに延性的な鋼材に遭遇するまで、成長し続けます。
鋼材のNDT温度を調べるためには、ASTM E208に従って梁状の試験片を作製して、落錘試験システムを用いて1回衝撃を与えます。この試験には、落錘試験機モデル9450が適しています。このモデルは、0.59 Jから757 J(0.44 ft-lbから558 ft-lb)の衝撃エネルギー範囲において試験片の試験を行うことができます。このモデルは、19 x 130 x 50 mm(0.75” x 5” x 2”)のタイプP2試験片および16 x 130 x 50 mm(0.62” x 5” x 2”)のタイプP3試験片の試験を実施することができます。データ収集システムと組み合わせると、各試験において、BluehillソフトウェアのBluehill Impactモジュールを利用して荷重‐時間‐変位‐エネルギーの完全なデータ曲線と試験結果を記録することができます。