職場で生じる最も一般的な足の怪我は、骨の損傷や骨折、爪先の喪失、刺し傷、捻挫や挫傷等です。足の平均的な怪我の治癒には、他の多くの一般的な怪我に比べると長期間要します。世界の全ての傷害保険請求のうち25%は、足の怪我であると推定されています。従業員の安全を確保する意識の高まりの中、より多くの国々において、職場における日常の安全性を確保するため、靴の安全性に対する義務規制が導入されるようになっています。足の爪先を防護するために、安全靴や安全長靴が考案されており、衝撃に対する防護にも対応するようになっています。一層の保護強化のため、衝撃を吸収する靴底や足首の襟の備わった、安全性の高い靴もあります。
近年、安全靴の製造メーカーより、特に爪先部分の耐衝撃特性について、ASTM F2412とANSI Z41に準拠する製品を試験するのに適した衝撃試験システムに関する問合せを受けました。
Instron 9440または Instron 9350の落錘式衝撃試験機は、そのようなケースに適した試験を行うことができます。規格に準拠するように、安全靴の爪先部分を確実に支持する治具と、タップインサートが設計されました。衝撃試験を行う前に、25.4mm直径の縦型円筒の粘土模型が、規格で定義されているように靴の爪先内にセットされます。衝撃試験の後、この円筒は注意深く取り出され、その一番低い場所の高さが測定され、その値が記録されます。これが、その製品の、爪先の隙間として報告されます。タップを計装化し、専用ソフトウェアの Bluehill Impactとデータ取り込み解析システム(DAS 64K データ収集システム)を用いることにより、実施される各試験から、吸収エネルギーなどの情報を収集することができます。
Instron 9440または 9450は、衝撃現象下における、材料挙動特性を把握するのに適しています。計装化された衝撃試験を通じて得られる情報は、複合材料に置き換わることが、現実の状況でどのような影響をもたらすかについての基礎データとなります。恒温槽を用いることにより、様々な温度における衝撃特性を調べることができます。また、様々な冶具やインサートを用いることにより、他種類の衝撃現象をシミュレートすることができるなど、より広範囲の試験を実施することができます。