天然資源の安全な採掘および精製事業への大幅な投資が世界中で行われており、このためこの分野の市場ではケーシング用鋼管およびパイプライン輸送システム用鋼管の品質に幅広い関心が集まっています。これらの製品の引張試験を行う際には、パイプの形状、肉厚、および半径にもとづいてグリップとひずみ測定に関するさまざまな課題が生じます。
API 5L/ISO 3183の規定は、ISO 6892-1およびASTM A370に規定された引張試験方法に従っています。全断面パイプの試験に関する要求では、試験片作成の負担をやわらげることがパイプメーカーとインストロン両方の側において認識されています。しかしながら、パイプには引張試験の際にその端部がつぶれないように両端部に栓をしなくてはなりません。試験フレームでグリップするためには全断面パイプ試験片が大きすぎる場合、ISOおよびASTM規格にしたがって管状製品から長手方向試験片を切り出します。
ひずみ測定に関しては、これらの方法では50 mmのゲージ長が必要です。伸び計としては、クリップオン式または自動伸び計を使用することができます。フルサイズの材料の場合には、インストロンは産業用クリップオン伸び計(最大直径89 mm)を推奨します。長手方向ストリップ試験片に関しては、小型フレ-ムクリップオン伸び計を利用することができます。この伸び計は、不規則な形状に対してすべりを防止して精度を確保するため、ストリップ試験片の内径または外径に対してぴったりとはまります。
パイプとチューブの引張試験に関して、もっとも人気のあるインストロンのシステムは、産業シリーズ 1000HDXです。インストロンは、使い勝手がよく安全性が向上した完全開放型油圧グリップ構成を推奨します。このグリップ構成では、すべりを起こさず材料を確実にグリップできます。パイプとチューブの試験に関しては、インストロンは、API 5L/ISO 3183における要求条件を満足するために、ISO 6892-1およびA370用の内蔵された標準試験方法を提供する総合Bluehill®3ソフトウェアを推奨します。
インストロンは、試験方法および要求される結果を完全にそして確実に理解していただくため、これらの規格に目をとおして規格を詳細に検討することを推奨しています。