r値とn値を決定する際の課題
伸び計の装着
伸び計を試験片に装着する場所に依存して、試験結果は変動します。下記に、4つの異なる横方向標点距離を用いた試験片を、デジタル画像相関ソフトウェアを用いて解析したものを示しています。伸び計の装着位置により、異なった横方向ひずみ値が示されています。これは、r値の計算に差異をもたらします。手動で伸び計を装着する場合、横方向ひずみ測定に影響を与えます。
試験片のアライメント
金属薄板は、引張を受ける場合、その方向に敏感です。試験片アライメント用のツールや冶具を使うことにより、試験結果の変動を低減できます。
試験片形状測定
通常、材料試験片は、マイクロメータを用いて形状測定されます。幅と厚さ測定は、試験片の全体に渡る多数の位置において実施され、平均化されなければなりません。測定技能はオペレータにより異なるので、r値が伸び計により測定される幅ではなく、オペレータによる最初の幅測定に基づいて決定される場合は、変動が生じます。
試験片準備
r値は非常に感受性が高いので、試験片作成が悪いと、試験結果の変動の原因になります。試験片の端部は、滑らかでなければなりません。横方向ひずみを測定する端部が荒削りになっていると、r値の変動が大きくなります。さらに、曲がった試験片、ねじれた試験片、反った試験片では、試験結果に変動が生じます。
試験片のひずみ速度
金属薄板によっては、ひずみ速度感受性が高く、r値とn値の結果がひずみ速度によって変動する場合があります。試験中の速度の切換えを確実に最適化する、最適パラメータ制御により、一貫したひずみ制御が成された試験が可能になります。
熱的な影響
金属薄板試験片は、手による取扱いや伸び計から熱伝導により、影響を受けることがあります。試験片の挿入時に手袋を使うことにより、このような熱的影響を排除し、再現性を改善できます。どの接触式伸び計に使用される材料においても、ナイフエッジからの熱伝導が試験結果に影響を決して与えないよう、最適化されなければなりません。代替手段として非接触式伸び計を使用いただければ、このような影響を排除できます。