動的試験
概要
動的試験機は、繰り返し荷重のための機械試験に用いられます。引張試験機では、試験片が破損または破断点に達するまでの降伏応力および最大抗張力を測定する目的で準静的な荷重を加えます。これに対し、動的試験機では通常、試験片が疲労によって破断するまで、材料の弾性域内で繰り返し荷重を与えます。一般的な試験のタイプとしては、高サイクル疲労、低サイクル疲労、き裂進展や熱機械疲労を含む破壊力学試験、および運動靴、オートインジェクター、ステントなどのシミュレーション試験があります。動的試験機は、油圧サーボ式アクチュエータ、電動サーボ式モータ、リニア電気式モータなど各種のテクノロジーを利用します。
動的試験機
コンポーネントと部品
疲労試験は、動的試験機で実行します。引張試験機は、ロードセル、試験ソフトウェア、および用途に応じたグリップやアクセサリー(伸び計など)を備えた試験フレームで構成されます。試験を行う材料の種類により、必要となるアクセサリーの種類が決まります。また、試験機の荷重容量範囲内であれば、1台の装置で治具を変更するだけで、どのような材料でも試験することが可能です。
動的試験機 | |
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1) | ロードフレーム 動的試験機のロードフレームは、荷重容量と動的性能に応じて、油圧サーボ式、電動サーボ式、またはリニア電気式のいずれかとなります。 |
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ソフトウェア 試験ソフトウェアは、試験機の設定、試験メソッドの作成、試験の実施、結果のエクスポートが行えるソフトウェアです。 |
3) | ロードセル ロードセルとは、試験片に加わる力を測定するトランスデューサーです。インストロンが特許を取得したDynacellには、高速動的試験の慣性力によって荷重に生じる読み取りエラーを除去するための加速度計も組み込まれています。 |
4) | グリップと治具 さまざまな材料、形状、サイズの試験片に対応する、幅広いグリップおよび治具が用意されています。 |
5) | ひずみ測定 一部の試験メソッドでは、荷重を受けた試験片の伸びを測定する必要があります。インストロンは、動的ひずみの測定と制御に適した、接触式および非接触式デバイスを提供しています。 |
1000 Nから5 MNまでの荷重容量、1 Hzから100 Hzまでの動的性能を備えた多様なサイズの動的試験機が用意されています。低荷重のほとんどの動的試験は、リニア電気式モータを搭載した試験機で実施します。一方、高荷重の用途では、油圧サーボ式フレームおよびアクチュエータが必要になります。インストロンのElectroPulsシステムは、1000 Nから20 kNまでの荷重容量があり、引張-引張、引張-圧縮、圧縮-圧縮、曲げ疲労など広範囲に及ぶ多様な試験に加え、幅広いバイオメディカル規格に準拠した試験を実施できます。インストロンの油圧サーボ式システムは、高強度鋼や先端複合材料など、より強い材料や大型コンポーネントの試験に対応する、25 kNから5 MNまでの高い荷重容量向けに設計されています。
動的試験規格
プラスチック、エラストマー、金属の試験規格
ほとんどの動的試験は、ASTMやISOといった規格組織によって公開された、実績のある規格に基づいて実施されます。試験規格には、さまざまな種類の材料(金属、プラスチック、エラストマー、織物、複合材料に加え、医療製品、自動車部品、家電などの完成品)において許容されている試験パラメータと試験結果が定められています。これらの規格は、サプライチェーンに入る材料と製品が、予測可能な機械的特性を示し、予期される最終用途において故障することがないように定められたものです。製品の欠陥によるコストや安全性への影響は計り知れないため、製品が適切な規格に適合しているかどうかを判断しやすくするために、高品質で正確な試験機に投資することが望まれます。
Bluehill Fractureモジュールは、亀裂伝播、 延性破壊/脆性破壊、亀裂長測定、試験片形状に関する一般的な試験規格(ASTM、ISO、BS)のすべてに対応します。定義済みの規格(例:ASTM E647、ASTM E399、ASTM E1820、ISO 12135)に準拠した試験を実施できます。
インプラントのサイズと形状はさまざまです。角度付き歯科インプラントを可変角度の治具に取り付けて、ISO 14801規格に準拠した試験を実施できます。この治具は、取り付けによってインプラントを過剰に制約することがなく、ロードセルや試験機の破損につながりかねない大きな横力を発生させないことが要求されます。角度付き歯科インプラントは、15 Hzの周波数を使用し、外気内で試験する必要があります。
インストロンの脊椎インプラント治具は、ASTM F1717-12の要件を満たす設計となっています。この規格に従い、UHMWPEブロックを脊椎治具に取り付けます。ブロックの設計は、目的とする脊椎位置での臨床的用途に応じて変更可能です。曲げ圧縮、曲げ引張、ねじり試験を実施する場合、ブロックを治具に接続する方法に一定の自由度があります。
チューニング
セットアップの手間を省き、より多くの試験