骨や象牙質、歯のエナメル質は全て硬組織と考えられています。こういった種類の試験片は、一般的に圧縮または曲げで試験されます。硬組織における圧縮または曲げ試験によって得られる最も一般的な結果は、弾性率と破断強度です。通常、これらの試験片は小型や大型のネズミまたは他の哺乳動物から採取される小サイズのものですが、それにも関わらず、硬組織は高剛性を示します。弾性率を測定する際によく直面する課題は、変位の測定を正確にすることです。骨のような硬組織が特定の荷重に対して、小さい変位しか示しません。圧縮試験に加えて3点曲げや4点曲げ試験が骨の断片の破壊強度を定量化するために、一般的に行われます。このような試験は浸水および体温中など、生理学的に適切な条件で実施されなければならないことがよくあります。
硬組織について圧縮試験を行う場合、試験片サイズとほぼ一致する適切なサイズの圧縮盤を選択するとともに、試験片に均一な圧縮力が確実に負荷されるようにするため、圧縮盤に対して球座または自動アラインメントを用いること、さらにシステムの変位を測定するため、正確な検出器を用いることが重要です。変位の正確な検出は、例えば、ソフトウェアにおけるコンプライアンス補正を利用するか、またはLVDT(線形可変差動変圧器)やビデオビデオ伸び計などのひずみ測定機器を使うことにより可能になります。曲げ試験を実施する場合、曲げ試験治具に用いられる圧子のサイズが試験片に対して適切であることともに、スパン長さなどの曲げ試験治具パラメータが、ソフトウェアに簡単にインプットできることが重要です。