接着剤の剥離試験、またはストリップ試験の方法
ASTM D903は、幅広い産業分野のさまざまな用途で使用される接着剤で接合された材料の剥離特性を評価するために使用される一般的な引張試験です。ASTM D903で試験される材料には、プラスチックフィルム、粘着ラベル、防水材などがあります。このガイドは、ASTM D903試験の基本的な要素について、必要な試験装置、ソフトウェア、試験片の概要などをご紹介します。ASTM D903に沿った試験を計画している場合は、このガイドは規格全文に相当しないことをご理解ください。
ASTM D903試験の課題:
- 規格に準拠した計算を報告する
- ピークとトラフを捉えるのに十分なデータレート
- さまざまな厚さの材料をグリップする方法
- 試験時のスリップを解消
ASTM D903試験を実施する理由
ASTM D903の試験は、主に研究開発目的で行われます。この試験の標準的な調整期間は7日間なので、品質管理としてこの方法を使用することは困難です。ほとんどの場合、ASTM D903試験は、最良の接着特性をもたらす接着剤の分離化学組成を評価するために実施されます。
試験片と試験片の調整
ASTM D903に準拠した試験を行うには、接着剤を1インチ×12インチにカットして試験片を作成する必要があります。その後、フレキシブル基板またはリジッド基板から180°の角度で、152.4 mm/分または6 in/分の剥離速度で試験片を剥離します。試験材料は予想される引張に耐えられるような厚さが必要ですが、厚さは3 mm(1⁄8インチ)以下でなければなりません。可能であれば、試験片の標準的な厚さは、金属の場合は1.6 mm(1/16インチ)、プラスチックの場合は1/16インチ、木材の場合は1/8インチ、ゴム化合物の場合は1.9 mm (0.075インチ)とします。柔軟な試験片が荷重を受けて伸びることがわかっている場合、同じ荷重を受けても伸びることが予想されない、より剛性の高い基板を使用することが重要です。
すべての試験片は、試験前に調整する必要があります。ASTM D903の標準的な調整では、監視下の湿度と温度に試験片を7日間さらすことが要求されています。接着剤によっては、材料によって不要とみなされる場合には、調整期間を短縮することもできます。試験片が調整環境を出た後に即座に試験を実施する必要があります。
試験システム
試験中のピークとトラフの記録には高いデータ取得率が必要となるため、Bluehill Universalを搭載したインストロン6800シリーズ試験機を推奨します。6800シリーズの試験機は、最大5 kHzまでのデータ取得速度を実現できます。接着剤で接合された試験片の試験に最適な試験機は、68SC-1システムです。68SC-1システムは十分な変位を確保でき、最大荷重は1 kN(225ポンド)です。これは、ほとんどのASTM D903試験片に適しています。試験片がこの容量を超えると予想される場合は、より高容量の6800シリーズ試験機が必要になる場合があります。試験を簡素化するため、Bluehill Universalの接着剤モジュールにはASTM D903試験メソッドがあらかじめ組み込まれています。
グリップオプション
ASTM D903試験で最も一般的なグリップソリューションは高性能ねじ式グリップですが、このタイプの試験には空気圧式グリップが好ましい選択肢です。空気圧式グリップは、空気圧を調整してグリップに送ることができますが、高性能ねじ式グリップは、試験片ごとに手動で締め付ける必要があります。
これらのグリップソリューションは、特許取得済みの「クイックチェンジ」フェース設計を採用しており、材料のニーズに合わせてフェースを簡単に交換することができます。フェースはヤスリ目、ゴム、フラットなどが一般的ですが、試験する試験片によって使い分けがされています。ヤスリ目のフェースは強力すぎて、フェースが早期破断を引き起こすことがあります。一方、ゴムやフラットフェースでは、試験片が滑ったり、押し出されたりすることがあります。