圧縮試験とは
概要


圧縮試験は、引張 試験や屈曲 試験とともに、機械試験の最も基本的な種類の1つに挙げられます。圧縮試験は、破砕荷重下での材料の挙動を測定するために用いられ、通常、万能試験機の圧縮盤または専用の治具を用いて試験片(通常は立方体または円柱形状のいずれか)に圧縮圧を加えることによって実施されます。試験中、材料のさまざまな特性が計算され、 応力-ひずみ図としてプロットされます。これは、 弾性限界比例限界降伏点降伏強度、そして一部の材料については圧縮強度などの品質を決定するために使用されます。

圧縮試験を行う理由

圧縮試験により、メーカーは製造工程のいくつかの段階において、材料、コンポーネント、製品の完全性と安全性を評価することができます。新しい用途や製品に用いる材料を選択するには、最終用途で遭遇する、どのような機械力にも耐えられる材料であることを実証しなければなりません。潜在的な用途は、自動車のフロントガラスの強度試験から、建築に用いられるコンクリート桁の耐久性試験まで、多岐に渡ります。座席に用いる フォーム は、消費者にとって快適である必要があり、 ドラッグデリバリーデバイス は、医療提供者にとって導入しやすいものでなければなりません。さらに、材料および製品は、非常に多様な温度条件および環境条件下での循環的または反復的な使用により、短時間または長時間にわたって機械力を受ける可能性があります。座席用のクッション は一定期間の使用に耐えることが期待され、 自動車のタイヤ はあらゆる気象条件下で弾性を保つ必要があります。 高い引張強度を示す材料は(必ずしもそうとは限りませんが)低い圧縮強度を示す傾向があります。同様に、圧縮強度の高い材料は、引張強度が低くなる傾向があります。そのため、多くの場合、コンクリート、金属、プラスチック、セラミックス、複合材料、段ボールなどの波形材料など、脆い材料に対して圧縮試験が行われます。これらの材料は、圧縮力に対し完全性が重要である荷重含有容量が必要な場合に使用されます。 

特定の材料の引張特性を調べるために行われる引張試験とは異なり、圧縮試験は完成品に対して行われるケースがほとんどです。試験の対象となるのは、テニスボール、ゴルフボール、水筒、保護ケース、プラスチックパイプ、家具などの一般的なもので、圧縮強度を評価する必要がある製品が挙げられます。たとえば、あるエンジニアが、薄い筒の水筒を作ることでプラスチックを節約したいと考えたとします。しかし、水筒はパレットに詰めて輸送するために十分な強度を持たなければなりません。圧縮試験により、エンジニアは製品の強度と材料の節約のバランスを微調整することができます。

研究開発プロセスにおける圧縮試験の重要性に加え、品質保証部門でも、各バッチの完成品が圧縮特性に関して必要な仕様を満たしていることを確認するために圧縮試験が使用されます。これは安全性とビジネスの両面から重要です。不良品はエンドユーザーに危険を招くおそれがあるだけでなく、生産の遅れ、収益の損失、評判の失墜といった形でメーカーが多大な損害を被る可能性があります。



圧縮試験の実施方法 圧縮試験の基本原則

 


圧縮試験は、圧縮試験機とも呼ばれる万能試験機で実施します。これらの試験機は、ロードセル、試験用ソフトウェア、用途に応じた圧盤 および付属品を装備したシングルコラムまたはデュアルコラムのフレームで構成されています。万能試験機には、0.02 Nから2,000 kNまでの幅広い荷重容量のものがあります。ほとんどの低荷重試験は、インストロンの6800シリーズのような卓上型試験機で行われますが、より高荷重の用途では、インストロンのIndustrialシリーズ のような床置型フレームが必要になります。さまざまな治具を使ってこれらのシステムを構成し、あらゆる製品、コンポーネント、材料を試験できます。

圧縮試験システムの設定 


圧縮試験機
ロードフレーム
圧縮試験機には、その荷重容量に応じて、シングルコラム構成またはデュアルコラム構成のいずれかになります。
ソフトウェア
試験用ソフトウェアは、オペレーターが試験メソッドを構成し、結果を出力するために使用します。
ロードセル
ロードセルとは、試験片に加わる力を測定するトランスデューサーです。インストロンのロードセルは、ロードセル容量の1/1,000の精度を持ちます。
圧縮盤
さまざまな材料、形状、サイズの試験片に対応する、多様な圧縮盤およびその他の圧縮治具が用意されています。

 




インストロンの圧縮試験用機器 システム、コンポーネント、部品

 



圧縮試験機は、0.02 N~2,000 kNまで、さまざまなサイズと容量を取り揃えています。ほとんどの低荷重試験は、電気機械式のシングルコラムまたはデュアルコラム卓上型試験機で行われますが、高荷重の用途には床置型試験機が必要です。インストロンの6800シリーズシステムは、最大300 kNまでの容量範囲で使用でき、引張、圧縮、曲げ、剥離、引裂、せん断、摩擦、ねじり、打ち抜きなど、幅広いタイプの試験を実行可能です。インストロンのIndustrialシリーズ油圧サーボ式システムは、高強度の金属、合金、先進複合材料について、さらに高容量の試験を実施できるよう設計されています。

6800シリーズ万能材料試験機


最大300 kNの万能材料試験機

シングルコラム/デュアルコラムの卓上型/床置き型試験機は、0.02 N(2 gf)~300 kNまでの荷重容量を備えています。

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最大2,000 kNのIndustrialシリーズ万能材料試験機


最大2,000 kNのIndustrialシリーズ万能材料試験機

インストロン’のIndustrialシリーズは、300 kN~2,000 kNの荷重範囲で単一試験空間または二重空間をラインナップしています。

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圧縮盤
自動調整 | 高容量 | 疲労定格


圧縮盤は、広い範囲に及ぶ材料やコンポーネントの圧縮試験に使用されます。万能試験機に圧縮盤を取り付けてさまざまな試験を実施し、圧縮係数、圧縮強度、圧縮降伏力などの性質を判別することができます。

自動調整 / 球座


2501シリーズ(静的試験用)
荷重容量50 N~600 kN

2501シリーズ圧縮盤は、試験中に圧縮荷重を均等にかけるように設計され、精密に作られた治具です。これらの圧縮盤は、均等なストレス分散が極めて重要とされる圧縮試験用に、表面硬化(Rockwell HRC 58/60)を採用しています。


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自動調整 / 球座


自動調整 / 球座
静的試験および動的試験に対応

少量のプリロードの適用中、球座付き圧縮盤は、両面が完全に平行ではない圧縮試験片に適応するために必要な自動調整を提供します。


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W-2004-D圧縮盤


W-2004シリーズ(高容量の静的試験用)
荷重容量600 kN~5,000 kN

高強度で多用途なこれらの圧縮盤は、インストロンおよびその他の静的万能試験機に容易に取り付け可能です。


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フォームの圧縮治具
カタログ番号 2810-130

フォーム圧縮治具は、膨張した気泡材料のインデント試験および圧縮試験用に設計されています。この治具はASTM D3574、ASTM D5672、ISO2439、およびISO3386に適応しています。治具には、穿孔された荷重テーブルおよび円形のインデント/アンビルが含まれます。直径203 mmの上部アンビルには、スイベルジョイントが組み込まれています。ベーステーブルには、20 mmの中心に6.5 mmの穴が開けられており、取り付け面から浮いているため、試験サンプルから迅速な空気抜きが可能です。


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2840シリーズ圧縮盤


2840シリーズ(動的試験用)
静的荷重容量200 kN~2,000 kN | 動的荷重容量100 kN~1,000 kN

2840シリーズ圧縮盤は、LVDTマウントを組み込み、高サイクルの疲労試験を高い信頼性で実施できるよう設計されています。


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圧縮治具アダプターセット


圧縮治具アダプターセット
690 MPa(100,000 psi)圧力定格

より低い圧縮盤などのオプション治具を配置するのに適した、アクチュエータロッドに装着するテーブルアセンブリを提供します。


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圧縮試験規格 プラスチック、エラストマー、金属の試験規格

 



ほとんどの圧縮試験は、ASTMISOといった規格団体によって公開された、実績のある規格に基づいて実施されます。試験規格には、さまざまな種類の材料(インフラ 工事に使用される金属やコンクリートに加え、医療製品 や家電などの完成品)において許容される試験パラメータと試験結果が定められています。これらの規格により、サプライチェーンに導入する材料や製品が予測可能な機械的性質を示し、想定される最終用途で故障の可能性が低いことが保証されます。 たとえば、家具、自動車、マットレス業界は、ポリウレタンフォームの押込み力変形を測定するASTM D3574に従っています。この試験は、フォームを元の厚さの25%まで圧縮したときの力を測定することで、フォームの初期の柔らかさを測定します。元の厚さの65%に圧縮したときの力を測定することで、支持力の強さを測定します。自動車用シートのエンジニアは、最終製品に必要なフォームの押込み力変形値を指定し、製造拠点では1シフトあたり数回の試験を行い、製造されるすべてのシートが柔らかさとサポート性に関して同じ感触であることを保証します。製品の欠陥によるコストや安全性への影響は計り知れないため、製品が適切な規格に適合しているかどうかを判断しやすくするために、高品質で正確な試験機に投資することが望まれます。

以下のリストは、最も一般的な国際引張試験規格です。

  • ASTM C109 | 2インチのセメントモルタルの圧縮試験
  • ASTM C170 | 規格石材の圧縮強度
  • ASTM C365 サンドイッチ芯材の圧縮試験
  • ASTM C39 | コンクリート円柱の圧縮試験
  • ASTM D1621 | 硬質セルラープラスチックの圧縮特性
  • ASTM D2844 | 圧縮土壌の水分滲出試験
  • ASTM D3410 | 高分子マトリックス複合材料の圧縮強度
  • ASTM D575-91 | 圧縮におけるゴムの特性に関する標準試験メソッド
  • ASTM D6484 | 高分子マトリックス複合積層板の有孔圧縮強度
  • ASTM D6641 | 複合荷重圧縮(CLC)試験治具を用いた高分子マトリックス複合材料の圧縮特性
  • ASTM D695 | 硬質プラスチックの圧縮試験
  • ASTM D7137 | 衝撃後の高分子マトリックス複合板の残存圧縮強度特性
  • ASTM F1306 | フレキシブルバリアフィルムと積層板の低速浸透抵抗
  • ASTM D3574 | フレキシブルセル材料の標準試験法
  • ISO 11608 | 針ベース注射システム
  • ISO 14126 | 繊維強化プラスチック複合材の面内圧縮特性
  • ISO 604 | プラスチックの圧縮特性
  • ISO 7886 | 滅菌皮下注射器の試験
  • ISO 844 | 硬質セルラープラスチックの圧縮特性
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